家と核家族/家

1955年 ( 旧編集委員会 1980年6月 筆 )

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 法律が変ったからといってすぐに家庭生活が変るわけではないが世の中に及ぼす影響は見逃すことができないし、生活をとりまく社会の流れは、家庭生活にも大きな変化をもたらすことがある。

 昭和30年(1955)代の高度経済成長などはそのよき一例というべきだろう。いわゆる「核家族」世帯は、この時期に飛躍的増加をみた。

 その家の家風に順応できない嫁は置いてもらえないというようなことは、今ではあまりないが、かつては、嫁は姑に気兼ねし、顔色をうかがって生きてきたのが、今では逆に姑の方が気兼ねしている状態が多くなった。親から子へ、子から孫へと永く受けつがれてきた「家」も、一代限り、という考え方に移行しつつあるかに見える。

 子供は成長すれば独立して別居し、あとに老夫婦だけが最後の家を死守する、といった例が増加しつつあるのが現状である。

 いかに高齢になっても健康でいる限り問題は少いが、一旦病魔にとりつかれでもしたら、老後について社会保障はあるとはいえ、心の保障はないのだから、温かい人間関係と思いやりの心のふれあいだけは、失いたくない。

 新民法といえども100%理想的とはいえるものではない。時代とともに、そのニーズに応じて変っていかなければならないだろう。