土地に対する意識の変化/土地百年

江戸時代 ~ ( 旧編集委員会 1980年3月 筆 )

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 土地が財産となったのは江戸時代からのようである。土地は概ね百姓か町人のもののように考えられていた。他に幕府や幕臣、社寺の土地もあったが、今のような土地私有権というような考え方ではなく、私物ではないが所持している、いってみれば「士地所持権」というのが適当かと思われる。

 明治維新政府は地租改正を行って国の財政の8割を地租におんぶする見返りとして、地租納入者は土地所有者ということになり、地券が交付される。そのあたりから「所有権」を知ったようで、売買の自由化と共に土地が金融の担保に使われるようになって、土地所有権というものが育ってきた。

 戦後の農地改革は山林原野を対象としなかったが、経済成長と共に住宅需要も増大し、それに比例して地価も上昇しはじめ、40年後半以後は特に値上がりが著しくなり、土地所有熱も高まってきた。

 新しく創り出すことも出来なければ、あちこち移動することも出来ないこの土地という特殊なモノが、正常な利用にとどまらず、投機的売買の「玉」にもなるだけに、政治的課題となってきたように思う。