忘れた頃にやってきた尾張地方の天災地変

775年~ ( 青山隆弘 1979年9月 筆 )

<back

 このところ、東海大地震が来るのではないかというのでいろいろ取沙汰されておりますが、天災は忘れた頃に果してやって来たかどうか……大雑把にちょっと調べてみみました。

 今から1200年程前の宝亀6年(775)の8月、大暴風雨が襲来、美濃国から尾張、伊勢にわたってガケ崩れや洪水が起って農民300人牛馬1000頭が死に寺院堂塔19ヶ所がこわされたという。

 それから400年余りたって南北朝幕開け時代の暦応元年(1338)9月、東国めざしていた筈の義良親王という人が大嵐に遭って尾張国篠島へ流れついたといわれていますので、今でいう台風にやられたのでしょう。

 さて、それから更に500年余りたって安政2年(1855)これ又台風が来て、当時盛んに進められていた伊勢湾沿岸の新田開発干拓地で100ヶ所近い堤防がこわされてしまいました。その大風から6年後の万延2年2月13日、夜半から未明にかけて三河から飛騨に及ぶ広い地域に烈しい地震があったと記録されていますが被害等は判りません。

 そして、これからちょうど30年後の明治24年10月28日、かの有名な「濃尾大地震」となるわけです。この地震自体のデータは詳しく残っています。

 発震時は10月28日午前6時3分、震源地は揖斐川上流、震域は仙台以北を除く日本全土に及んだそうで、規模はマグニチュード8.3、その余震は数年間も続いたという。(愛知県災害誌)ところがこの濃尾地震に於ける今村地区(当時八白村)の被害等についての詳しい資料がありません。どなたか、ございませんか。前述の災害誌によれば、八白村の住家全壊2戸、半壊4戸、破損4戸、非住家全壊1むね、半壊15むね、破損3むね、となっていますが……。

 あれから今年で88年目。まあなるべく来てほしくないものですが、用心するにこしたことはないでしょう。